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利己的な遺伝子とミーム。
※敬称略
meme(ミーム)。
meme
meme(ミーム)とはもともとはイギリスの学者Richard Dawkins(リチャード・ドーキンス)が1976年に提唱したもの。
遺伝子のような単位で文化が伝達されるという考え方はドーキンス以前にもあったそうだが、『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』という著書の中で、ドーキンス自身がこの造語を作り上げた。
参考:利己的遺伝子 – Wikipedia
参考:ミーム – Wikipedia
ドーキンスは専門的な難しい用語を、なるべく一般人にもわかりやすいように説明することを得意としている。
日本の一般層ではいまだ無名だが、世界的には有名な学者、ベストセラー作家で、X(旧Twitter)のフォロワー数は300万人を超えている。
Richard Dawkins(リチャード・ドーキンス)
画像出典:Wikipedia
Photo by:David Shankbone
キャッチーな言葉で。
memeの語源。
ドーキンスは、度々とてもキャッチーなフレーズを使う。
ミームは、ギリシャ語の「mimeme(mimは模倣)」や、英語の「memory(記憶)」、フランス語の「même(同じ)」などと結びつけた言葉と言われている。
ミーンがミームへ。
単音節で。
さらに、遺伝子の「gene(ジーン)」と同じく、単音節で発音できるように、「meme(ミーン、ミーム)」と名付けたそう。
これは、『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』の中で書かれている。
(※「meme」の発音は「ミーン」に近く、前後の文などによって「m」は「ム」や「ン」と発音されている。)
インターネット・ミームはあくまでもミームの一種。
Internet meme
スマホが世界的に普及し始めた2010年頃から、急に「ミーム」の名前を聞くことが多くなった。
日本でも最近ではSNSにより、ミームという名を聞くことが度々ある。
それらの多くはジョークやブラックジョーク的な面白おかしな画像や動画類であり、亜種や変種、突然変異のようなもので、まず欧米圏で「meme」として広がった。
そして数年が経ち、日本でも「ミーム」という言葉で広がりつつある。
元々のミームの例として挙げられる「キャッチフレーズ」や「ファッション」などと比べると小さなものだが、流行しているのは確かであり、一過性のものかどうかもわからない。
ミームは単位のこと。
ただ言えるのは、インターネット・ミーム(ネットミーム)はミームの一種であり、本来はイコールではない。
ドーキンス本人が書いたり語ったりしているように、ミームは、遺伝子と同じく、情報伝達の「単位」である。
AIとミームの伝達はできるのだろうか?
人とAIの間で伝達?
ChatGPTへ聞いてみたところ。
これはちょっと興味深くなっている。AI(ChatGPT)の方も(おそらくはそういうプログラムにより)興味深いと言っていた。
ドーキンスが提唱したときは、「脳から脳へ伝達される」ものであったが、ChatGPTやCopilot(Bing)、Gemini(旧Bard)などの言語モデルのAIは「脳」を持たない。
しかし、言語はミームの一種と言えることからも、脳の有無以外はほとんど同じ定義で括ることができる。
インターネット・ミームを生成できる、画像生成AIのStable DiffusionやDALL·Eなどもそうだ。
倫理面や道徳面。
変異への対処。
だからこそ、何かしらのルールの整備や、倫理面や道徳面での共有が望ましいと思う。
Sam Altman(サム・アルトマン)による、政府による規制の介入を求めるような発言は、まともなものに思える。
プライバシーや差別発言などの問題だけではない。
AIがミームもしくはミーム的な模倣、伝達手段を持つと、「突然変異」を起こす可能性がある。
その変異は、人間や動植物にとって都合の良いものとは限らない。
遺伝子やミームの突然変異。
突然変異と自然選択。
突然変異が起こる原因は、ざっくりと言えば、もしも気候変動や天敵が現れた場合などに、同じような能力を持つ種族だけでは全滅してしまう可能性が高いから。
環境と遺伝子。
極端な例を挙げると、このまま地球温暖化が急激かつ想定以上に進み平均気温が100°Cに達するような超高温世界になれば、今現在の動植物の多くは生き残れない。
たがそのようなときに、突然変異でマンガに出てくるようなキャラクターが出現すれば、生き残れる可能性が生まれ、自然選択の結果として遺伝子を残していく。
また、AIに伝わったミームによりプログラムが突然変異を起こし、シンギュラリティのような現象があった場合も、自然選択が行われる。
ミームはそもそも自己複製子であり、文化的遺伝子とも呼ばれる。
ミームと遺伝子。
文化的遺伝子。
ミームは「文化的遺伝子」とも訳される通り、遺伝子(ジーン)とも強い関係性がある。
例えばドーキンスの『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』で書かれている通り、遺伝子同様に利己的であり、増殖、進化をし、突然変異があり、自然選択で淘汰もされる。
極論、人間はそれらの乗り物に過ぎないとまで言っている。
コペルニクス的転回。
そんなバカなと思っても、コペルニクスやガリレオにより今では宇宙の中心が地球ではないとされているように、客観的、科学的な視点でみると、ドーキンスが提唱したことも計測ができる事実となりうる。
参考:ニコラウス・コペルニクス – Wikipedia ほか。
参考:ガリレオ・ガリレイ – Wikipedia ほか。
脳からデバイスへ。脳からAIへ。
「脳から脳へ」伝達するミームは、電波や回線を通して一瞬で世界につながるインターネットと相性が良かった。
AIとの伝達も、パソコンやスマホを通じて瞬時に伝わる。
インターネットやパソコンを通すためにデジタル化がされ、「0と1」の2進数、バイナリで置き換え、伝達ができる。
今後量子コンピュータなどが普及していくと、さらに伝達速度は加速される。
それは自分の子供を残さない場合でも、自分のミームは残るということにもつながっていく。
継承の単位は個体ではなく、遺伝子。
遺伝子は自分の子じゃなくても残せている。
遺伝子の継承。
たまに「自分の遺伝子を残したい。」、「〇〇の遺伝子を残すべきだ。」という主張を聞くことがある。
だが、遺伝子であれば、きょうだいであれば約50%、その甥や姪であれば約25%が自分と共通する。
つまり、自分自身の子どもではなくても、ある程度の遺伝子は残せられる。
別の角度で見ると、自分の直接の子供でさえ、50%ほどの遺伝子しか残せない。
そして、必ずしも50%全ての遺伝子が発現するわけでもない。
環境要因の影響。
レオナルド・ダ・ヴィンチとスティーブ・ジョブズ。
人や生物は環境にも影響を受けるので、遺伝子がほとんど関係しないという場合もあるだろう。
例えば、Leonardo da Vinci(レオナルド・ダ・ヴィンチ)やSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)は天才と呼ばれたりする。
が、レオナルド・ダ・ヴィンチは非嫡出子として生まれ、スティーブ・ジョブズは生後すぐに養子となっている。
参考:レオナルド・ダ・ヴィンチ – Wikipedia ほか。
参考:スティーブ・ジョブズ – Wikipedia ほか。
そのため彼らの能力は、遺伝的な要因よりも、親代わりの人物の子育てや、環境や書物などからのミームの影響の方が強い可能性がある。
「genius」よりも「menius」なのかもしれない。
利己的な遺伝子と進化論。
自分の努力も重要だが、ドーキンスの『利己的な遺伝子』やダーウィンの『進化論』によれば、人間やその他の生物は、環境に対する遺伝子やミームは自然選択によって進化し、生き残っている。
(※「利己的遺伝子 – Wikipedia」や「進化論 – Wikipedia」が必ずしも「正しい」というわけではなく、あくまでも「影響」や「確率」として。)
子供はいないが作品が残った。
子供を残さなかったが、結果的に多くの作品を残した、宮沢賢治やフィンセント・ファン・ゴッホもそうだろう。
そして彼らの、絵画や文学作品といった「ミーム」は、後世に広く伝達されている。
働きアリや働きバチ。
子孫を残さなくても遺伝子は残る。
働きアリや働きバチは、自分の子孫を残さない。
にも関わらず、献身的に女王のために一生を尽くす。
これは個体レベルで見ると奇妙な行動に見えるが、遺伝子レベルで見ると何パーセントかの自分の遺伝子は残るので、必ずしも100%利他的、100%自己犠牲的であるとは言えない。
というのが利己的な遺伝子やミームの理屈や視点となっている。
2-6-2の法則。
働きアリの法則。
働きアリの中にはサボるものたちも一定数現れる。
サボるものたちを別のところへ移し、働きものだけの集団を作ると、その中から新たにサボるものたちが現れる。
逆に働きものたちが倒れていくと、サボっていたものたちが働きだす。
それでも一生働かないアリもいるというが、遺伝子の一部は残るので、次世代以降にまた一生働かないアリが現れる。
働き方改革の突然変異の最先端にいるのかもれしれず、アリの世界の石川啄木なのかもしれない。
大谷翔平選手の「二刀流」というミーム。
二刀流選手 / two-way player
野球の大谷翔平選手のような、投手であり打者でもある、いわゆる「二刀流 / two-way player」という言葉もミームと言える。
彼は野球選手としてだけではなく、イメージの良さから多数のスポンサーと契約をしているため、広告で見ることも多い。
そこまでの価値を高めた大きな要因である「二刀流」や「two-way player」というミームや「大谷翔平」という名前は、言葉や象徴として伝わっている。
参考:大谷翔平 – Wikipedia ほか。
大谷翔平選手の努力 + 環境要因。
ただし、プロレベルの野球選手で「二刀流」を実践して結果を出しているのは、世界中に大谷翔平選手しかいない。
これは大谷選手自身の遺伝子や性格や言動が素晴らしいだけではなく、環境要因やミームが関わっていることを示唆している。
大谷選手は背の高さだけでなく、出身地や家族構成にも恵まれている。
2000年以降の、東北出身の野球選手、野球監督。
メジャーリーグで活躍するピッチャーは東北地方の生まれや居住経験者が多い。佐々木一浩元投手から、斎藤隆元投手、岩隈久志元投手、ダルビッシュ有投手、田中将大投手、菊池雄星投手、いずれ佐々木朗希投手もその中に入るだろう。
プロ野球監督経験者としても、山田久志元監督、落合博満元監督、金本知憲元監督、矢野燿大元監督といる。
いずれも若い頃に東北で過ごした経験があり、2000年代以降にメジャー選手、プロ野球監督になっている。
IT企業で言われる、サンフランシスコ、シリコンバレーのようなイメージになりつつもある。
末っ子という環境。
また日本のプロ野球の大打者は、末っ子が目立って多い。王さん長嶋さん野村さん張本さんの時代から、山本さん落合さん金本さん、イチローさん松井さんと皆末っ子として育っている。(王さんは双子のお姉さんと妹さんが数ヶ月から1歳ほどで亡くなっている。)
大谷選手は、お父さんが元社会人野球選手でお母さんも元社会人バドミントン選手。お兄さんが先に野球をしており、お姉さんもいる。
良い意味で、「聖人君子」過ぎてもいない。
なので、継承され継承していくであろう科学的なアプローチや近代的なトレーニング方法などとは違って、大谷翔平選手以外の環境にいる「二刀流」や「two-way player」の選手たちには、残念ながらも自然選択によって結果が伝わっていかない可能性が高くなる。
アフリカ単一起源説。
共通祖先とミーム。
また、一般的な日本人であれば他人の子よりも自分の子の方が可愛いと感じ、外国人よりも日本人の方に親近感を感じるだろう。
これも共有している遺伝子が多いから、という理由で説明ができる。
ただし勘違いしてはならないのは、遺伝子が遠いから、目の色や肌の色が違うからと言って不親切にしても良いということではない。
倫理面、道徳面はもちろん、共通の仕事や趣味などのミーム的な要素も含まれるからだ。
ミトコンドリア・イブやY染色体アダムの子孫として。
現代主流の説となっている「アフリカ単一起源説」では、ミドコンドリアのDNAとY染色体などから、人類の共通祖先は約20万年前のアフリカ人とされている。
現時点地球上にいる約80億人は、その遺伝子の何パーセントかを受け継いでいる。
共通祖先がアフリカ人なのであれば、衣食住の中で「ファッション」といったミームを最初に普及させたのもアフリカ人ということになる。
「人類皆兄弟」という言葉はただの名言ではなく、生物学的、科学的な根拠を持っている。
以上、参考になれば幸いです。
※Webデザインは実務数年、職業訓練校講師数年、フリーランス数年、計15年以上のキャリアがありますが、一気にがぁっと書いているので「です・ます調」ではありません。(元々はメモ書きでした。) ※事実や経験、調査や検証を基にしていますが、万一なにかしら不備・不足などがありましたらすみません。お知らせいただければ訂正いたします。 ※写真は主にUnsplashやPixabayのフリー素材を利用させていただいております。その他の写真や動画もフリー素材やパブリックドメイン、もしくは自前のものを使用しております。
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