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職業訓練校の場合。
ここ数年度々聞かれることがあり、ネットや上でもリアルの場でも不確かな情報が散見しているので(もちろん良い情報もあるが。)、元職業訓練校講師として、ちょっとまとめてみました。
偉そうにする意図はありませんが、もし参考になれば。
職業訓練校のメリット。
- ハローワーク経由となるので、求職者支援として厚生労働省からの公的な支援がある。毎月10万円の給付金と交通費を受けながら講義や就職相談などのサポートを受けられる。
(※本人収入が8万円以下、世帯収入が25万円以下などの条件をクリアしている必要がある。収入が多い場合だと以前は8万円の支給額だった。世帯収入の額は厚労省のサイトでも40万円や25万円とブレがあるので、ハローワークで相談すると良い。) - 通所手当として、交通費の支給がある。遠方から通う場合でも上限は月42,500円と結構手厚い。
- 現場でよく使われ、ほぼ必須とも言えるAdobeソフトが学割で利用できる。訓練校のパソコンでは無料で利用可能。
- 書類選考や、面接、筆記試験などの審査があるが、特別難しい内容ではない。ただし、一般常識や義務教育レベルの復習は必要。デザイン会社は私服が多いが、職業訓練校の面接はスーツで行くと無難かつ印象が良いかも。受講時は私服で問題なし。
- 条件をクリアしていれば、失業保険の支給を受けながらの受講もできる。ハローワークで相談すると良い。
- 教科書となるテキスト代は自己負担だが、全部(数冊)で約10,000円。これはどの職業訓練校でも同じ。
- 資格試験を受ける時は別途試験代がかかるが、これは他の職業訓練校以外のスクールでも同じ。また資格試験を受けるのは必須ではない。取得した方が就職には有利かとは思う。
- ハローワークによる、就職サポートがある。これも結構なメリットとなる。
参考:厚生労働省 求職者支援制度のご案内
参考:厚生労働省 求職者支援制度に関するよくあるご質問(PDF)
職業訓練校のデメリット。
- 一旦無職となる必要がある。ただし月8万円以内のアルバイトなどは可能。
- コロナ禍などの非常時で希望者が一気に集まる時は、急に倍率が高くなり、審査で落ちることがある。
- 先生には当たり外れがある。ただしこれは、義務教育の小学校や中学校、他のスクールも同じ。
- 学校によってはその職業訓練校の卒業生がそのまま講師となっているところがあり、実務経験や制作経験がない先生もいるので要注意。
- 先生と相性が悪くても、割り切って自分で覚えることは可能。就職という同じ目的のクラスメイトもいる。
- 地方などでは、ハローワークや職業訓練校がない地域もある。都市部でもデザイン会社で使われることが多いMacで学習できるところは少ない。
(※最近はオンラインも増えてはいる。また、学校に通うために往復で4時間以上かかる距離などの場合、付属する宿泊施設やアパートなどに入居できることがあり、認められると寄宿手当として月10,700円の支給がある。入学前に要チェック。) - 8割以上の出席が必要だが、そもそもお金をもらって勉強を教えてもらっているので当然とも言える。また、やむなく8割を切ったとしても給付金は日割りで支給される。
- 40歳を超えていると結構厳しい。ただしこれはスクールに限ったことでなく、職業訓練校や独学でも同じ。企業側も未経験もしくはほぼ未経験の40代を採用するのは躊躇する。もし管理職経験があれば要点を抑えた学習を意識し、デザイナーよりも、コーダーやWebディレクターを目指した方が心身に良いかと思う。
参考:厚生労働省 求職者支援制度のご案内
いわゆる職業訓練校には2つの種類がある。
公共職業訓練と求職者支援訓練がある。
- 公共職業訓練の方が質が高そうだが、受講料が有料の場合もある。
- 求職者支援訓練ではテキスト代の約1万円以外は無料。資格試験を受ける場合はどちらでも同じく費用がかかる。試験は個人的には受けた方が良いと思うが、必須ではない。(※Web系の場合HTMLやCSS、PhotoshopやIllustratorなどがあるが、受験料はそれぞれ7千円台から8千円台で済む。自動車教習所に通って運転免許を取得する場合よりもずっと安い。また、資格があると普通であれば就職時にプラスに働く。)
参考:厚生労働省 ハロートレーニング
参考:厚生労働省 ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像(PDF)
スクールの場合。
スクールのメリット。
- 本業を続けながら、通うことができる。
- 現役のWebデザイナーやコーダーに教わることができる可能性がある。
- 職業訓練校同様、現場でよく使われ、ほぼ必須とも言えるAdobeソフトが学割で利用できる可能性が高い。
(※ただし利用できないスクールもあるかもしれないので、入学前に要チェック。) - スクールによってはMacで学習できることがある。
スクールのデメリット。
- 数十万のお金がかかる。安いところは質が悪く、質が良いところは半年で50万円以上かかる。
- オプションなどで追加料金が20万円かかることもある。
- 1ヶ月や3ヶ月でスキルを習得できるほど現場は甘くない。
- 講師が自分の頭や口や手足を使って教えるのではなく、動画で自己学習させることが度々ある。
- 職業訓練校のような硬いイメージがないので、入りやすい反面、企業側からのイメージは軽く見られる可能性がある。
- 40歳を超えていると結構厳しい。ただしこれはスクールに限ったことでなく、職業訓練校や独学でも同じ。企業側も未経験もしくはほぼ未経験の40代を採用するのは躊躇する。もし管理職経験があれば要点を抑えた学習を意識し、デザイナーよりも、コーダーやWebディレクターを目指した方が心身に良いかと思う。
結論。
結論としては、デザインやWebデザインのコースがあるのなら、公共職業訓練や民間教育訓練機関の求職者支援訓練の、いわゆる『職業訓練校(ハロートレーニング=離職者訓練・求職者支援訓練)』が無難だと思う。毎月給付金が支給されるので、その時点で他と比べられないほどのベネフィットがある。
受講期間が6ヶ月間という職業訓練校も普通にあるので、受講条件を満たした上でかつ8割上出席すると60万円を受け取れ、かつ学習時間も多く取れる。
講師(先生)は、正直に言って「運」や「相性」の要素が大きい。これはスクールでも職業訓練校でも義務教育でも同様だ。ただしたとえ運や相性が悪くても、職業訓練校であればテキスト代約1万円以外はほぼ無料なので、大きな損にはならない。
職業訓練校を途中でやめても卒業してからでも、そこから改めて別のスクールを探してみるのも良いし、独学を続けても良い。
人生の将来を左右する職業に、半年や1年程度の遠回りなど、ほとんどノーリスクであり、むしろ人生経験を積める機会となる。
また、インターン制度のある会社を探しても良いし、コーチやメンターを探してみても良い。先生や職員の方がそういう会社やサービスを教えてくれるかもしれないし、自分自身でネットで探しても良い。
なので、そんなに心配はないのでご安心を。
参考書籍:職業訓練校でも使われる書籍。検定試験対策や会社で使われることも。
※Webデザインは実務数年、職業訓練校講師数年、フリーランス数年、計15年以上のキャリアがありますが、一気にがぁっと書いているので「です・ます調」ではありません。(元々はメモ書きでした。) ※事実や経験、調査や検証を基にしていますが、万一なにかしら不備・不足などがありましたらすみません。お知らせいただければ訂正いたします。 ※写真は主にUnsplashやPixabayのフリー素材を利用させていただいております。その他の写真や動画もフリー素材やパブリックドメイン、もしくは自前のものを使用しております。