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マズローの欲求5段階説と、「志を高く持とう」や「意識高い系」。
実社会でもSNSでも制作の現場でも、「志を高く持とう」とか「意識高い系」とか、重いのか軽いのかどっちかよくわからない用途で言葉が使われていたりする。
こうして活字で見比べると、前者の意味は重くも清くも、また後者はただの揶揄だったりもする。
栄養補給、体力回復には、お金と家、部屋が必要。
しっかり飯を食え、きちんと寝ろ、などという言葉もあるが、根本的に違うのだ。
栄養も足らず睡眠も足らずでは意識を高く上げようがない。
栄養のあるご飯を食べるにはまず食費が必要となり、適切な睡眠をとるためには家賃や寝具が必要となる。
なのに、背景や事情も確認せず、いきなり「志を高く持とう」などと強要されることがある。
未だにエンゲル係数が高い人たちがいるという事実を知らないのか、自分で家賃を払ったことがないのか、そもそも興味がないのか、もしくは避けているのだろうか。
YouTuberはなぜ兄弟が多いのか?
トップYouTuberには、スタッフも含め高確率で兄弟が多い。
普通に考えて、表や影での親の支援が関係しているはずだ。
エンゲル係数に苦労するなんてことはほぼないだろう。
飛躍した精神論を強要する人というのは、大体が勉強不足で、論理的思考ができていないと思われる。どこかで聞いたような言葉をただ口で言っているのではないだろうか。
マズローの欲求5段階説の階層。
マズローの欲求5段階説という有名な説がある。だがこの説は、義務教育では普通は習わない。偏差値が高めの高校や、大学、社会に出てから学ぶということの方が多いだろう。
- 自己実現の欲求 (Self-actualization)
- 承認(尊重)の欲求 (Esteem)
- 社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
- 安全の欲求 (Safety needs)
- 生理的欲求 (Physiological needs)
出典:Wikipedia
画像出典:Wikimedia Commons
作者:J. Finkelstein
矛盾があると理論的に登れない。
現代では、母猫が子猫を躾けるような、物理的な怪我をしないように力加減が調整された小突きやビンタでも、すぐに過剰視される。
現代でも、上司が部下に致命傷を負わせるような、精神的な大きなダメージを受ける程度のハラスメントでも、すぐに揉み消される。
そのような認知的不協和の中では、安全欲求の階段に足をかけたところで、次の段へ登っていくための負荷が大きすぎて、身体を持ち上げられない。
SNSではなぜ匿名が多いのか?
SNS。
Facebook以外のSNSは、ニックネームやハンドルネームが非常に多い。Facebookでさえ、数は少ないがニックネームやハンドルネームが使われている。
あまりにカオスになっているのはどうかと思うが、言いづらいこと言いやすいという面ではすでに1つの文化とも呼べるものとなっている。
ラッパーたち。
同じような文化にラップがある。ラッパーたちはやはり本名ではない。なので言いづらいことを思いっきり口に出す、攻撃的な歌詞や歌い方が多い。
SNSでもラップでも、少なくとも生理的欲求と安全欲求は満たされている。有名になっていくにつれ、社会的欲求、承認欲求も満たされる。
自己実現欲求まで満たされると、精神的にも経済的にも余裕ができ、過剰な攻撃性は減少するだろう。
誹謗中傷など、わざわざする気が起こらないだろう。
言論の自由を言葉の暴力として使わないだろう。それよりも、美しさを求めるだろう。
生理的欲求と安全欲求、社会的欲求が、月15万〜20万円程度で満たされるだろうか?
世帯主か、被世帯主か。
「志や意識を高くする」ためには、まず下の階層の問題がクリアされていなければならない。
この問題は、世帯主か、被世帯主かで大きく変わる。
「資本」ではなく「資産」の問題。
家賃や食費、電気代、通信費などの心配が必要な一人暮らしと、それらがデフォルトで揃っている被世帯主では大きく違う。
毎月の固定費がかかるのとかからないのでは、一般庶民層では約10万円の差が生じる。
年間に換算すると100万円を超えることになるので、かなり大きい。
被世帯主あればリスクを負えるが、世帯主であれば、安全欲求の段階で自制心や危機感が働くのではないだろうか。
だが、誰もこのことを問題にしない。
世帯主と非世帯主で給料に差があるという会社は、聞いたことがない。
無知や未経験が、根性論を産む。
「志を高く持て」とか「意識高い系」とか、後のことや先のことを考えずに、本来とは違う意味合いで言葉が使われている。
マズローの欲求5段階説の、その段階の順番を知っているとは、とても思えない。
夜にやれば良いとか、土日にやれば良いとか、人の倍やれば良いとか、平気で言う人たちがいる。
物価の安い海外へ行けば良いではないか、ということを真顔で言う人たちもいる。
そういう人たちは、たいてい、自分自身ではそういうことをしていない。
していたとしても数ヶ月や数年という短期間だ。
だから簡単に口に出せるのではないだろうか。
建築物が建築士たちによって建てられるように、WebサイトはWebデザイナーたちが作っている。
歴史が浅いためなのか、普及させることを優先させたためなのか、いまだにインターネットはタダだと思われがちだ。
石やコンクリートでできた身体で感じられる3次元の建築物であればわかりやすいのだろうが、目と頭だけで見るデジタルデバイスでの2次元のインターネット空間では、想像がしにくいのかもしれない。
だが、人々が日々ネットニュースやショッピングサイトを見たり、ネットサーフィンを楽しんだりするのは、そのサイトを作っているWebデザイナーやコーダーたちがいるからなのだ。
そのデザインやコーディングという作業は、欲求5段階では比較的高層に位置する作業である。
なので精神論を振りかざすよりも、足場を固める物資や賃金をまず最初に解決させるのが、論理的で現実的な思考・経営だろう。
足りない再生産費では生産も増えない。
※Webデザインは実務数年、職業訓練校講師数年、フリーランス数年、計15年以上のキャリアがありますが、一気にがぁっと書いているので「です・ます調」ではありません。(元々はメモ書きでした。) ※事実や経験、調査や検証を基にしていますが、万一なにかしら不備・不足などがありましたらすみません。お知らせいただければ訂正いたします。 ※写真は主にUnsplashやPixabayのフリー素材を利用させていただいております。その他の写真や動画もフリー素材やパブリックドメイン、もしくは自前のものを使用しております。